
人が生活していれば頭髪は自然と伸びていくもの。髪の毛をバッサリとカットして大胆にショートにした、といった経験のある方も少なくないでしょう。でも、なんだか勿体ない....なんて思った方もいらっしゃるのでは?
実は、その髪の毛、寄付できることをご存知でしょうか。今回は、頭髪に問題を抱える子供達へウィッグを提供する「ヘアドネーション」という活動について解説していきます。
髪の毛を寄付できる「ヘアドネーション」とは?
ヘアドネーションは、寄付された頭髪で作成したウィッグを18歳以下の子供へ無償で提供するNPO法人活動です。
アメリカにて初めて発足した活動であり、2009年より日本国内に初めてNPO団体が設立されました。先天性の病気でもともと頭髪がない子供たち、事故や投薬治療の副作用で頭髪を失ってしまった子供たちが対象となっています。
通常、医療用ヘアウィッグの作成には20万〜50万ほどの費用がかかりますが、有志から収集した髪の毛を元にウィッグを作成しプレゼントする形で完全無償提供をしているのが特徴です。ドナー提供やその他募金と比較して、「髪の毛」という一般人から支援が受けやすい活動内容から、全国の理美容室を中心に広がっています。
髪の毛の郵送方法もお手軽で、髪の毛と指定の用紙を封入し指定の宛先へ普通郵便で送るだけとなっています。
どんな髪が提供可能?男性にとっては難しい
性別や国籍、髪色を問わず、どなたの髪の毛でも提供を受け付けています。次の3点が適した髪の毛とされており、条件を満たして入れば送ることが可能です。・長さが31cm以上であること・カラー、パーマ、ブリーチがかかった状態でもよい
・完全に乾いていること
これらを指定の宛先に送ることで、ウィッグ作成の一部として利用されます。
髪質については、極端な症状がなければ心配する必要はありません。
クセ毛の方でも問題なく受け付けています。強度についても軽く引っ張って切れない程度が条件とされています。男性にとって31cmはなかなか厳しい条件のため、寄付者のほとんどは女性を対象としています。詳細>>発毛名古屋 ... 名古屋中央クリニック
切った髪の毛を寄付する方法
まずは、ヘアドネーション活動に協力している美容室・サロンを探すところから始まります。検索フォームから調べる他、NPO団体「JHD&C(Japan Hair Donation&Charity)」のホームページから提携しているサロン一覧をチェックすることができますので、確認してみましょう。
こういった寄付目的のドネーションカットを受け付けているサロンであれば、送付手順のマニュアルがもらえる店舗もあります。サロンで切っていった髪を受け取ったのち、「髪の毛」「ドナーシート」「返信用封筒(任意)」を1セットにして指定の宛先へ送付します。
ドナーシートとは、髪の毛の状態を記述したメモのようなものです。対応するNPO団体が所定のpdfを用意しているケースもありますので、事前に確認しておきましょう。髪の毛は中央と両端を輪ゴムでしばってまとめます。
複数人のものを送る場合はそれぞれ分けてまとめましょう。近くに提携サロンがない場合でも、寄付分の髪の毛を自分でカットして、行きつけのところで整えてもらうといった方法でも問題なく送付できます。ただし、美容師さんによっては怒られてしまうかもしれませんので、慣れていない方は無難に提携サロンを探しましょう。
日々の抜け毛を集めるといった方法も
ヘアドネーション目的で髪の毛をカットする以外にも、枕やふとした時の抜け毛をまとめて送る方法もあります。抜け毛の収集に抵抗がなければ活動への貢献も可能でしょう。地道で膨大な時間がかかる作業に思えますが、送付する本数に規定はなく100本程度からの支援も受け付けています。
人間は平均して1日100本程度抜け毛が発生します。10万本ほど必要なウィッグ丸々一つとまではいかなくとも、数日分でも十分な助力になりますね。注意点として「水場周りの抜け毛」と「抜け毛の状態」はよく選別する必要があります。
サロンでのドネーションカットもそうなんですが、基本的に送る髪の毛は水で濡らしません。湿り気のある毛は雑菌が繁殖しやすく、衛生的に廃棄せざるおえないことがあるからです。他にも、頭皮から抜け落ちた毛は強度が弱く、軽く引っ張っただけで切れてしまうなど、そもそもウィッグ作成に向かないケースもあるのです。
抜け毛を送る際は、軽く引っ張ってチェックすることと、ドライヤーで念入りに乾かしてから送るよう注意しましょう。
国内でのヘアドネーションの普及
2009年、国内初のヘアドネーションNPO法人が設立され活動に踏み出しました。ですが、2015年頃までヘアドネーションの認知度は非常に低く、NPO法人へ直接送ったり、自主的に開催したチャリティーなどで提供を求めたりする以外に手段がありませんでした。
闘病生活を経験した本人や、その家族や関係者しかこの活動に触れる機会がなく、広く普及させるには厳しい状況でした。しかし、ベッキーさんや柴咲コウさんといった芸能人の方々のヘアドネーション活動表明と、それを国内のメディアがピックアップしたことで広く知られるようになり、その知名度は飛躍的に上昇する運びとなりました。
TVのドキュメンタリーやニュースで闘病生活をおくる患者さんの姿が、痛ましく映る方も多いはず。本人の心身には想像を絶する負担がかかっています。特に、多感な子供達では、その過酷さに耐え切れないかもしれない…そんな状況を少しでも和らげられないかと発足した活動がヘアドネーションです。
Instagramなど個人の情報発信が盛んになってからは、自然とその活動が人の目に映るようになってきました。無縁の方でも知れる機会が増え、気軽に援助することができるよう環境が整ったことは、純粋に喜ばしいことですね。
ヘアドネーションを後押しする文化
日本の主なヘアドネーション団体は三つあります。1つ目に、「Japan Hair Donation & Charity(ジャーダック、JHD&C)」は国内初のNPO法人団体です。2009年に発足してから現在まで活動を継続しており、実績も十分です。
柔らかいイラストの公式サイトが特徴的で、わかりやすくヘアドネーションについて解説してます。
2つ目の、「NPO法人HERO」は、メンバーの一人が思い癌を発病したことをキッカケに活動を開始した団体です。発足当初のエピソードやヘアドネーションに対する疑問をより細かく解説しています。活動の賛同する理美容室が全国各地に分布しており、公式サイトから一覧を確認できます。
3つ目に紹介する、「株式会社グローウィング『つな髪プロジェクト』」の最大の特徴は、15cmからの髪の毛を縫製するインナーキャップウィッグに力を入れている点です。従来の半分の長さを受け付けている点は提供者へのハードルを引き下げるとともに、より多くの希望者へ提供することを両立しています。
SNSでも個人の発信やウィッグ提供を受けた肩のメッセージや上がっています。具体的な活動内容について興味のある方は、SNSで#ヘアドネーション、または、#hairdonationと検索をかけてみることオススメします。